大集会所でよく目にするアラスターという人物。NPCの中でも名前のついている調査隊ハンターとしては逆に珍しく全身をアロイ防具で固めた硬派なキャラクターだ。装備が硬派なら言葉遣いも硬派な男で初めて見かけた時から俺の中では地味に好印象のNPCである。
もっとも彼の口調が硬いのは、周囲の人間から「経歴もそこそこベテラン」という評価を受けているのに合わせて言葉遣いから威厳を醸し出そうとしているためらしい。素が出るとCAPCOM製ゲームに一人はいるコテコテ関西弁キャラに変貌するという意外な側面も併せ持っている。
俺は本当はモンスター素材ベースの防具よりもアラスターの着るアロイ装備のような金属ベースのものの見た目の方が好みである。しかし性能的なところを考慮するとどうしてもアルシュベルドやらゴア・マガラやらゾ・シアやらの絶対に傍に置いておきたくない禍々しいモンスターら(※個人の感想です)の素材を使った防具を使わざるを得ない。歳をとるにつれて金属ベースの防具の方が普通にかっこいいなと感じてきたのもあるが、討伐してきたモンスター由来の素材を身に着けているとシンプルに死骸としての気持ち悪さ半分、いつかそいつらの怨念が爆発(?)して取り殺されはしないかというオカルト的な怖さ半分で気が気でいられないのだ。それもあってただ一人シンプルかつスタイリッシュなアロイ装備で歩いているアラスターを見かけると親近感や安心感を覚えるのである。
その他にもアラスターは「大集会所は昔の集会所みたいで懐かしい」(※要約)やら「セクレトに頼ってばかりではいけない」(※要約)やらの妙にプレイヤーの懐古心をくすぐるようなことを話してくれる。特にセクレトについての想いは俺もほぼ同じ(詳しくは第19話にて)で、険しい自然が広がる『禁足地』の調査はどう考えてもセクレトなしでは為し得ないと理解しているからこそ、彼らに頼ってばかりではなく今一度ハンターとしての自らの力を高める方向に進みたいということなんだよな。わかるわかる、その気概マジでわかるわ。このように俺とアラスターはかなり気が合う、いや気が合うを超えてフィロソフィーが合うと言ってもいいくらいの中(片思い)なのだ。
アロイシリーズという装備は『モンスターハンター 3』時代からある金属製防具のベストセラーみたいなものでアラスター自身もまた経歴の長いベテランハンターだ。もしやあのアロイ装備は今回の禁足地調査のための支給品ではなくこれまで使い続けてきた自前のものなのだろうか。彼にも別地方での長い積み上げがあって現在の調査隊生活があるのだと思うとより渋みを感じられていいキャラだなあと思う。
主人公はじめそれぞれヒストリーを持つ人々が各地から集まっている『モンスターハンターワイルズ』。禁足地での経験がまたいつかどこかで"古い思い出"として話す日が来るのかもしれない。まったく違う装備を身に着けた彼らがまったく異なる経歴や趣味趣向について語らっているのを見ると、この世界が確かに続いてきて繋がっているものなのだと感じられる喜びがある。