彼の理想の田園へ

日記と妄言、活動記録。

【MHWs】あなたの身に災厄が訪れるのは――明日かもしれません -封印を解いた暴れん坊-【第86話】

 『封印を解いた暴れん坊』――このクエスト名を見たとき、俺の頭に最初に思い浮かんだのは『怒髪の豪腕-レイジ・アーム-』というはるか昔にやっていたカードゲームの中の一枚だった。『怒髪の豪腕』は2マナパワー1000の軽量クリーチャー。子豚のような何かに跨り荒野を疾走する筋骨隆々の豚の獣人のビジュアルで、そのイメージに寄り添うように"他のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、そのターン、このクリーチャーのパワーは+3000される。"というわかりやすいパンプアップ能力を持つ。

 よく「10代の頃に経験したことが生涯の趣味になる」とか「人間は中学生時代に聴いた音楽を一生聴き続ける」とかそういうニュアンスの言説を耳にすることがあるがあれは本当なのだろうか? 現在の俺はもうカードゲームを何もやっていない(やりたい気持ちは少しはあるが)し『封印を解いた暴れん坊』という文字列を初めて読むまで『怒髪の豪腕』のことなどまったく忘れていたはずなのに、記憶の奥底には今も大事にしまい込まれていたらしい。しまっておくのは別にいいが果たしてこの先の人生で使うことのある記憶なのだろうか?(笑) まったく人間の脳というのは不思議なものである。

封印の剣をそれと知らずに引き抜いてしまう。これがバーニング・ビーストの行った最初のヒットだ。

 

――『怒髪の豪腕』フレーバーテキストより引用

 話を『モンスターハンターワイルズ』に移そう。今回は2025年5月21日に配信された3つのイベントクエストの中から『封印を解いた暴れん坊』をやってみたよというお話。「またわけわからん話でお茶を濁すイベントクエスト回か」とがっかりされるのはまだ早い。このクエストは一昨日、昨日と続いた"一般イベントクエスト"(そんなカテゴリーは無い)とはひと味違う。なんと『封印を解いた暴れん坊』はその報酬品から新しい防具を作ることができるという"プレミアイベントクエスト"(そんなカテゴリーも無い)なのだ!

 ハンターという生き物(主語極大)は"特別な装備"や"限定アイテム"という言葉に目が無い。俺も一人のハンターとして居ても立っても居られなくなり、すぐさま今クエストのターゲットである護竜アンジャナフ亜種が待つ『竜都の跡形』へと向かった。

 護竜アンジャナフ亜種、護竜アンジャナフ亜種か~。あまりにも長過ぎて意味もなく連発したくなる名前だな(?) 個人的な話をすると最近の俺は護竜アンジャナフ亜種の素材から作られる護雷顎竜防具α/βを揃えている最中だったので直近でコイツのことはけっこう集中的に狩っていた。特に『護雷顎竜の上鼻骨』が大量に要る割になかなか集まらず、『封印を解いた暴れん坊』分も合わせると最終的には30頭近くは狩ったかもしれない^^; いやー大変だった。

 そんな比較的慣れた護竜アンジャナフ亜種戦。人間偉いもんで、何度も何度も同じモンスターを狩っていれば意識せずとも自然と効果的な立ち回りを学んでしまう。俺はわりかし楽にヤツを討伐した後、一度椅子から腰を浮かせて姿勢を整えた。まさに今クエストをクリアところだが本題はここからである。

 "暴れん坊"とは護竜アンジャナフ亜種のこと、それが何らかの"封印"を解いたのだというのが今回のクエストの意味だろう。いったい何の封印を解いたのかはわからないが、わざわざ封印されていたということならよほどのものであることは間違いない。果たしてどんな特別な報酬アイテムが飛び出すのだろうか――

 クエスト報酬の中には『封印の龍骸布』という新アイテムがおどろおどろしい赤アイコンで表示されていた。いわく、"災厄なる古龍の亡骸を封印していたとされる布。真偽の程は定かでは無いが、その禍々しさは本物。"とのこと。で、出たー!(゚∀゚  ) なんかヤバそうな布! "災厄なる古龍"が誰のことかは一旦考えないことにするとして、それよりも俺が気になったのは"古龍"という単語そのものである。

 『ワイルズ』を始めてから"古龍"という文字を見た記憶は少なくとも俺には無い(普通にどっかに書いてあったらすまん) そんな今までどこにも出てこなかったモンハン界の激ヤバワードがイベントクエストをきっかけに突然に現れた。護竜アンジャナフ亜種が解いた"封印"、そこに封印されていたのは"災厄なる古龍の亡骸"。もうわかるよね? じゃあその次は!? こ の 先 に は 何 が 待 っ て い る の か、ってこと!!!(関暁夫風) 封印は護竜アンジャナフ亜種によって解かれ、『封印の龍骸布』の存在は限定アイテムに釣られた多数のハンターによっていともあっさりと世に暴かれた。今回の出来事は『禁足地』に古龍が出現する前触れなのではないだろうか。信じるか信じないかは――あなた次第です!

 終わりに。自分でも軽く引くほど『封印の龍骸布』そのものに食いついてしまったせいで忘れかけていたが、そんないわくつきのアイテムを使用して作ったのがこちらの封印の龍骸布α。なんと素材の味100%のような頭防具である。

 少し冷静になってからあらためて『封印の龍骸布』の説明文を読み返してみると、実は「される」や「真偽の程は定かでは無い」、「禍々しさ"は"本物」などふわっふわのアリバイ文章がこれでもかと躍っている。これは以前(第62話)に取り上げた『禍々しい布』と完全に同じ構造であり、『封印の龍骸布』もまた出所不明かつ確認不能のロマンだけが染み込んだただの古い布の可能性が十分にあるということなのだ。

 ハンターを長く続けるためには何事も多少は冷ややかな目で見極めることが重要である。これまでさまざまな地方で一応の功績を上げてきた立場としては単に一つの"いわく"があるからといってこの布を喜んで身に着けて外を歩くわけにはいかない。俺はマイテント内だけで密やかに封印の龍骸布αを巻いた後、すぐに外そうと思って身を翻した。

 視界の隅に龍骸布の端がちらと映り込む。はて、今この布は確かに俺の後ろの高い位置で静かにたなびいていたような。締め切ったテント内に風はない。首に巻いて余りあるほどの長い布は普通なら俺のふくらはぎ辺りまで垂れていると思うのだが。まさかこの布には本当に古龍の呪いが――