彼の理想の田園へ

日記と妄言、活動記録。

【MHWs】陸の女王は揺るがない -砂がくれにし夜半の火影-【第29話】

 リオレイア――"陸の女王"の異名を持ちリオレウスと並び『モンスターハンター』シリーズで最も名の知られたモンスターの一種である。強靭な脚力から繰り出される突進や宙返りを伴う尻尾攻撃を主力としながら飛び道具として高出力の火炎ブレスをも扱うなど多彩な技の数々を披露する姿は一モンスターとして確固たる地位を確立している。「まさに飛竜種」といえる洗練された外見そのものに魅了された人も多いだろう。

 その他にも『モンスターハンター』(無印)のタイトルロゴのモンスターが実はリオレイアであるとか新作開発の初期段階においてはまずリオレイアを投入するところから開発が進んでいくとか、開発サイドから出されたエピソードもモンスターの中では比較的豊富でそちらの方向においても印象深い。シリーズを重ねるごとにどんどん尖ったデザインの鮮烈なモンスターが登場する中、時代を経てなお確かな存在感を保ち続ける"レジェンド"のような存在だ。

 かくいう俺にとってもリオレイアは大変印象深い存在である。かつて豆鉄砲一丁担いでイャンクックに転がされていた頃からリオレイアには幾度となく立ち向かっては同じように転がされてきたし、その後俺がハンターとして成長し彼女を討伐できるようになってからはその美しい緑色の素材を使ってさまざまな武器防具を作ってきた。ここでも何度か言ってきたが俺は緑色が大好きなので、作中意外と珍しい緑を基調とした色合いのモンスターということでリオレイアはまず最初に頭に浮かぶ。そしてまた女性用防具(『モンスターハンターワイルズ』では男女共用)のデザインが独特で美しかっこいいんだこれが。

 そんで時を経て現在の話。ある意味当然と言えば当然ながら『ワイルズ』にもリオレイアは登場する。イャンクックなどと同じく下位では出会うことがなかったが上位に突入すると『緋の森』をよく散歩しているのを見かけるようになる。豊穣期の森の木漏れ日の中を歩く艶やかな彼女の姿を初めて目にした時には俺は「おぉっ! えっ!? レイアじゃん!」と口に出すほど感動した。見ないうちにまたお美しくなられて…『ワイルズ』の圧倒的な描写力に感謝である。

 しかしそこまで驚き感激した割に俺はリオレイアを発見してその興奮のままに襲いかかる、みたいなことはしなかった。むしろ逆にしばらくの間はフィールド上で彼女を見かけてもその進む方向とは違う道へ迂回したり見つからないように離れたりして接触することを避けていた。今にして思えば自分でも「何やってんだ」という感じなのだが、この時の俺は旧知の仲ながら長らく会っていなかったリオレイアに人見知りが発動し、それに加えて"リオレイア"や"飛竜種"といった俺の中に存在するある種のブランドにまた手をつけ始めることを躊躇していたのである。

 確かに俺は手負いの状態ではあるがレ・ダウを乗り越えたし、ここではまだ書いていないが『護竜』と呼ばれる特殊なリオレウスとも剣を交えた。つまり別に飛竜種のモンスターは既に何度も狩っているのである。しかしそれらはいずれも下位の彼らであり、かつ物語の流れの中の致し方ないタイミングでのことだった。言わば「えっ!? 今から俺がアイツとやらなきゃいけないんですか!?」という何の心の準備もできていない状況で強制的に立ち向かわされたのである。

 それが今回はどうか。まったく何の緊急事案もないのどかな緋の森を穏やかな足取りでゆくリオレイア。俺がわざわざ事を荒立てさえしなければ何も起こることはない。戦うことがなければ敗北することもない。いわゆる"護身完成"状態である。

 逆に一度でもその平穏を切り裂きリオレイアを手にかけようものならもう元の日常には戻れない。相手は上位のリオレイア。どれだけ時代が下っても"ガチ"の"飛竜種"であることに変わりはない。ここでその領域の相手にケンカを売り戦端を開いてしまったが最後、俺はこの先本当の"モンスター"が闊歩する果てしなき覇道の第一歩を踏み出すことになってしまうのだ。

 そんなわけで突如森に現れたリオレイアのたたずまいにまだ見ぬ強敵の数々を幻視し怖気づいた俺は、しばらくの間ラバラ・バリナやババコンガなどの程よい中型モンスター(すまん^^;)やタリオス8頭など小型モンスターの狩猟、果てはフィールド探索や釣りなどに勤しむ日々を過ごしていた。しかし、そんなゲームの進行度的にまだまだ何もやりきっていない状態にも関わらず既に"引退後"みたいな日和りムーブをかましていた俺を再びのっぴきならない状況に引き戻すイベントクエストがこのごろ配信されたのである。

 クエストの名は『砂がくれにし夜半の火影』、なんと開始1800字を経過しようやく今回の本題に突入する(白目) 内容は豊穣期の夜の『隔ての砂原』でのリオレイア狩猟。報酬として調査隊の耳飾りαという頭防具を作成することができる限定アイテム『調査隊耳飾りチケット』が支払われる。俺は今まですべてのイベントクエストをこなしてきているのでもちろん今回もやりたいし、それに加えて限定品の報酬も出るというならやらない理由はなかった。なるほど、ついにこの時が来てしまったか。覚悟を決めて行くしかない、いざ隔ての砂原へ!

 『ワイルズ』初、シリーズ通しても7年振り?ほどのリオレイアとの対戦は懐かしい部分と新鮮な部分が入り混じっていた。尻尾を振り回す回転攻撃、前方を焼き尽くす火球ブレス、巨体をものともせず放つ宙返り尻尾攻撃。多彩な攻撃は怒り状態に移行するとその烈度を増し、とりあえず様子を見ようとする俺を容赦なく攻め立てた。突進は一度では終わらず何度も執拗に折り返し、"ダブルサマー"と呼ばれる二連続の宙返りは一度目の後に再度狙いを定めて二度目が来る。口から漏れる火炎は頭部全体を包もうかというほどに激しく溢れ、そこから吐き出された爆炎が闇夜の中で俺たちをフットライトのように下から照らしている。

 実にさまざまな記憶がよみがえってくる。これは確かに"あの時"のリオレイア。だけど"あの時のまま"のリオレイアじゃない。かつてよく見たリーサルウェポンの数々がその鋭さを研ぎ澄まし順当な強化を遂げている。必死の思いでリオレイアと対峙している間にも俺は妙な嬉しさを感じていた。

 そんな"再会の喜び"に浸っている間にも俺はリオレイアに着実にダメージを与え続けた。リオレイアのメリハリのついた大振りの攻撃の隙にはすかさず大剣の溜め斬りを叩き込み、振り下ろしたパルジーブレイドⅢの持つ強力な麻痺毒がさらに攻撃のチャンスを広げていく。オリーヴァはいつの間にか会得していた『ネコ式火竜艇』とかいう大火力の一撃でレイアをのけ反らせていたし、罠に利用できる隔ての砂原のツタの絡まりも俺たちの味方をした。10分ほども過ぎた頃だったか。やがてリオレイアはその攻撃のすべての原動力だった太い脚を引きずり始め、ほどなくして大地に伏した。

 初戦ながら結果的には盤石の内容だった。俺がレイア戦に慣れていたというのもあったからだろうし、明らかに『ワイルズ』のリオレイアは通常時と怒り時(+疲労時)の行動の緩急が激しかったりそれぞれの攻撃後に大きな隙があったりと意図的に"乗り越えるべき中堅"としてデザインされているからだと感じた。激しい攻撃を備えながらこちらからの明確な攻め時も見つけやすい比較的与しやすい相手になっていたのである。

 しかし俺にとってはリオレイアは今でも飛竜種の中心モンスター。猛々しい"陸の女王"として君臨する存在であることに変わりはない。ありがとう、強敵-トモ-よ。今回の戦いは俺と彼女との旧交を温める機会だったとともに、この先俺が上位のそうそうたるバケモン連中に挑んでいくための少々荒っぽい"壮行会"のようなものになったような気がした。

 

おまけ

 その後、フリークエストにリオレイア討伐のクエストが出てきたのでやっていたときに撮れた奇跡の一枚。何かというとこれ、画面左側に落ちているのがリオレイアの尻尾で切断してすぐに武器を放り出して剥ぎ取りに行ったらレアアイテム『雌火竜の紅玉』が出た!んだけど直後にレイア怒りの報復火炎ブレスに直撃して右の方までゴロゴロ転がされた時の写真(笑) 左端に嘘みたいなポージングバッチリのリオレイアさんが写っているのが芸術点高くて火だるまになってる身ながら感心してしまった。しかし何やってんだ俺は(笑)