彼の理想の田園へ

日記と妄言、活動記録。

【MHWs】緋の森完全踏査作戦! 前編【第20話】

 今回と次回(ないしは次々回)を使って『緋の森』というフィールドの話をしたい。『モンスターハンターワイルズ』発売前のPVにてまるでどこかのリゾート地のような緋の森の光景を目にし「これは俺の好きなフィールドだ!」と興奮した時から約半年。ようやく今回、その当時から冷めない興奮ととある一抹の不安を抱えつつ俺は緋の森全域の大規模完全踏査に乗り出すことにした。

 まずは乗り出すにあたっての動機から。興奮の方は前述した通りの単純な話なのだがもう一方の"とある不安"の方について少しだけ語らせてほしい。それは以前、イベントクエスト『豊穣清浄、怪鳥上々』にて緋の森中を飛び回るイャンクックを追いかけていた頃の話である。

 あのクエストの妙は出現するイャンクックの数の多さにある。ターゲットの一頭を発見した時から既にその周囲には別のイャンクックがおり、スリンガー大こやし弾で追い払ったのちに別エリアへ移った目標を追いかけて狩猟開始、しばらく経つと散っていった他の数頭がまた集合する。そいつらを再びこやし弾で離散させという一手間かけた流れを何度か繰り返すことになり、その度に飛び去った目的の一頭を追いかけることになる。そんなわけでいつもよりも多めに緋の森を駆けずり回っているうちに俺はある深刻な問題に直面した

 フィ、フィールドの構造が全然わからねえ。。。なんか毎度毎度道に迷うんですけど。。。俺は日頃から特別に方向音痴だとか地図が読めないだとかそういう自覚は無かったのだが、『ワイルズ』を始めてからというもの実はフィールド内で幾度となく道に迷いまくっていた。そもそもマップの見方もなんとなくでしかわかっておらず、便利で多機能な令和最新版のモンハンマップを使いこなしていると言うには程遠い現状だったのである。

 そのため前述のイャンクック狩りにおいても森の地形やエリア同士の位置関係を把握していないもんだからヤツが逃げた先からスマートに追っていくことなどできず、あっという間に見失ってはいちいちその場にドカッと座り込んでマップを開き、まずは己の現在地を探すところから始めるみたいな深刻な状態に陥っていた。

 そんな俺のようなどんくさハンターを救済するために『導蟲』というシステム(発光する小さな虫の群れがフィールド上を飛び、ターゲットへの道筋をつけてくれる神機能)が『モンスターハンター:ワールド』から導入されたのだが、それを頼りにしてとりあえず走っているとあいつら途中でいつの間にか消えやがる上に導蟲の導くままに知らないルートをオートクルーズ的に追っている途中で放り出されるもんだからあっという間に迷ってしまうのである。

 そんな味方だと思っていた奴らからの裏切りの極悪ハメ連携を食らって「ココハドコ? ワタシハダレ???」状態に陥ること十数回。これは流石にフィールドをよく覚えなきゃいかんと危機感がつのり、今回一番関心がありかつ特に構造が複雑でワケがわからない緋の森の全域調査に乗り出す運びとなったのだ。

 前置きが長くなってしまった。そんな希望と絶望がないまぜになった印象の緋の森を歩くにあたり、まず俺が最初に行ったことは"マップの確認"である。

 「そんなのあたりめーだろ^^;」と思われるかもしれないがちょっとだけ待ってほしい。というかこの企画は多くの皆さんにとって「あたりめーだろ」という内容が延々と続くだろうことが予想されるので、ちょっとどころではなくいつまでも待っていて生暖かい目で俺を見守ってほしい(何の話だ)

 話をマップの確認に戻す。なぜ俺にとって『ワイルズ』の各フィールドがこんなにも複雑に思える状態になっているのか、何度か遭難することでなんとなくの見当がつき始めていた。それはひとつのエリア内の地形だけでなく各エリア間にも高低差の概念があり、上下に重なった別々のエリアの位置関係を正しく認識できていないからではないだろうか? つまりマップ上は平面に見える地形も現実には平面ではない(当たり前だが)ため、意識すべき"次元"を一つ増やして理解する必要があるのではないか。決して年齢のせいで新しいことを覚えられなくなったわけではない、と思う。

 俺はその"願い"にも似た仮説を確かめるべく、緋の森のベースキャンプを出てすぐの辺りでマップを広げ、初めてじっくりと地図上から森の様子をを眺めてみた。

 果たして事実はそうだった。全体図を見ると緋の森のマッピングはざっくり二層に分けられており、同じ層の上でもかなりの高低差がついていることがわかる。この大枠の構造がわかっただけでも既に俺にとってはかなりの収穫である。ちなみにマップを立体的に描画することができることや上層・下層の表示を切り替えることができるのを今初めて知った。便利過ぎて震えが止まらない。

 そしてなんとフィールド上のエリア数は全部で18もある(!) 多い多いとは思っていたがまさかこんなにあるとは。俺の心象風景にある「モンハンのマップ」ではエリア数は8個から多くても10個程度。しかも各エリア間をつなぐ入り組んだ細い道のことを考える必要はなかった。それが常識だったはず。どうりで迷うわけじゃ

 そんな具合で自分の在りし日の認識と目の前の現実とのギャップの大きさに呆然として2025年になってもまだ全国No.0152以上のポケモンの存在を認めたがらないオーキド博士のようになりながら(伝わってくれ)も、ようやく意を決して実際にエリアに出ていくことにした。何事も変化の際には痛みを伴うものである。

 ベースキャンプを出てすぐのところには足下に豊富な水を湛える平地が広がっている。右側を道なりに行けばラバラ・バリナの巣がある小さな洞穴(エリア4)が、左側へ向かうと階段状の台地(エリア5)がありその高い方から手前にかけて絶えず水が流れてくる。なるほど、あらためてマップを見て気づいたが緋の森は垂直方向に二層に分かれているだけでなく、下層は下層で水平方向に陸エリアと河エリアにはっきりと分かれている。こんな風にまたフィールド上をざっくりの認識で分けることができると(実際の効果は不明だが)俺は少し安心できるのだ。

 そして今俺がザバザバと水をかき分けて歩いているのは、ただ水が滞留しているだけの陸地ではなく河川そのものだったのだ。川の流れは突然途切れたり変な方向へ逆流するなどということは無い。マップを見ると緋の森には大きな川が二本流れている。水は低きに流れるため、それらの元を辿っていくと当然標高は上がってゆき最後には上層のエリア17にある一つの水源に収束するというわけだ。緋の森の外枠を包むように流れる(というか川に沿ってフィールドを区切ったのだとも考えられるが)川という自然の道を基準に考えることでぐちゃぐちゃに思えた森の全体像がかなり明確に浮かび上がってきた。

 逆に俺がこれまでかなりの高確率で遭難してきたのが陸エリアである。この完全に森の中へ入った陸地部分が曲者で、特にエリア6なんかは緋の森の中心部分にあるせいであらゆる方向へ道が伸びており行く方向を間違えやすい地形になっている。

 加えて森の中であるということは樹木が乱立しツタが縦横無尽に張り巡らされているということでもある。セクレトを使えばある程度無茶なルートで樹木を駆け登ったり絡み合ったツタの上を走ったりすることができそれが下層から上層へのアクセスポイントだったりするのだが、今のところ俺はエリア内に鬱蒼と茂る植物の中からどれが登れる木でどれが渡れるツタなのかを判別できないのだったこればかりは今後繰り返し通って位置を覚えていくしかない。

 最後に、そんな陸エリアを調査している際に俺が今回初めて訪れたとあるスポットの話をしたい。エリアを覚えるための踏査にも関わらず既にこれがどこにあるのかもう忘れてしまった(確かエリア2?)というオチはあるのだが一旦気にしない方向で行かせていただく。何かというと森の中心付近に建てられる仮拠点の程近く、普段はわざわざ入っていかないような狭い道を奥まで進んで登っていくと、突然命懸けの『SASUKE』ステージのような明らかな意図をもって等間隔に配置されたツタの並びが姿を表すのだ。自然の中にありながら隠しきれない不自然さ。この辺りの木の下なんかは今まで何度も通っているはずだが、まさか頭上にこんなものがあるとは思わなかった。

 常人なら落下すればもちろん大ケガ以上は免れない高さである。いくら俺が頑丈なハンターだと言っても失敗の可能性を考えれば二の足を踏む。何より俺の頭にはこの天然の"ターザンロープ"を見た瞬間にある疑いの念がよぎっていた。

 大小さまざまな遊び要素がこれでもかと詰め込まれた『ワイルズ』。特に第5話で書いたように釣りにおけるゲーム性の進化は凄まじくその存在感の大きさは俺の中でモンスターの討伐と並び立っているほどである(言い過ぎかもしれない)

 モンハンは既に狩りだけのゲームではない。否、最初からそうだったのかもしれない。ならばこのツタだってきっと何かある。お前らただの移動ギミックじゃないだろ!

 俺は目の前にぶら下がるツタがいったい何者で、安易に近づいた瞬間にどんな鋭い牙を剥く獰猛な存在であるかを脳内でシミュレーションした。例えば俺(ハンターのこと)が跳びかかった瞬間に何らかの2つのボタンをリズムよく押してツタを手繰る必要があるとか、前後に揺れるタイミングに正確に合わせて次のツタに跳び移らなければ落ちてしまうとか、一定の確率で掴んだツタが切れるとか! 俺は緋の森の目立たない場所に「つまらないものですが」という顔をして無言で佇むこいつら(ツタのこと)をまったく信用していなかった。油断はできない。絶対に何かある!!!

 要はこれは広大なフィールドをそのすみずみまで丁寧に探索してくれたマメなハンターへのささやかな贈り物、もとい『最後の関門』なのだ。あらゆる場所を観察し尽くし自然のすべてを理解できたつもりでいる高慢なハンターを"初見殺し"的に驚かせるための最後の仕掛けであり、そうであるとすればツタを前にしてなお画面上には一切の説明が表示されないのも頷ける。これがもし『ワイルズ』始めたての純粋なハンターであればこの狡猾な無警戒に跳び込んでいったのだろうが、既に過酷な『禁足地』で多くの経験を積んできた俺には通じない。緋の森、敗れたり!である。

 風に揺れることもなく不気味なほどの沈黙を保ち続けるツタども。おそらくはいつまでも黙ったままでいることが自分達の不利益になるということに気づいていないのだろう。ならば俺から仕掛けてやる。お互いの制空権がついに触れたとき、果たして奴らがどんなアクションを起こすかはわからない。「実はハンターも気づけないほど巧妙にツタに擬態した環境生物でした!」という展開まであるかもしれないと思うと恐ろしいがそれならそれで一網打尽にしてくれる、ネットだけに。

 俺は覚悟を決めて今いる足場からツタに向かって跳び込んだ。勝負は一瞬で決まる。さあ! どんな対応を迫ってくるのか見せてみろ!

 ピョーン、ピョーン、ピョーンスタッ。俺は難なくツタを連続で跳び移り、対岸の木の上へと着地した。あまりにもあっさりとした幕切れに俺はしばらく何が起こったのか考え込んでしまった。いやお前は逆にただの移動ギミックだったんかい! デカい駅や空港にある動く床くらいスムーズで快適だったわ!  正確には跳び移りの際にボタンを1回押す必要はあったのだが、事前にさまざまなミニゲームを予想していただけに呆気なさ過ぎて俺はどのボタンを押したかも忘れてしまったよ。

 少し試した感じツタが突然ブチ切れるというようなことも無さそうだしもちろんハンターがトチって落ちてしまうことも無いようだ。とか言って1時間ほどもぶら下がったままでいると力尽きてベースキャンプに戻される可能性は残っているので、時間の無駄と思いつつも一度くらいは確かめてみようと思う(笑)

 このようにして俺はようやくフィールドの隅をつつくような探索をするだけのゆとりを持つことができた。こんなしょーもないことを書いているせいで字数がとんでもないことになっている割に話がまったく進んでいないので、次回も引き続き俺から見た緋の森の話をしていきます^^;