彼の理想の田園へ

日記と妄言、活動記録。

【MHWs】怪鳥イャンクックの衝撃 後編【第15話】

  第14話からの続き。本来この話は『モンスターハンターワイルズ』で再会したイャンクックの新たな印象について書こうと思っていたのだが、前編では最初から最後まで俺のイャンクックにまつわる思い出話全開の内容になってしまった。もうかれこれ15年以上も前のことを書きながら「俺ってこんなにゲームが下手だったカナと過去の自分の所業に思わずドン引きしたが、誰しも子供の頃の自分の行いを振り返って引いたり恥ずかしがったりすることはあるので仕方ない。そう信じなければ人は生き続けられないのだ(何の話だ)

 後編となる今回ではしっかりと何もかもがアップデートされた最新のクック氏の姿とそれを見ての俺の受け止めについて書いていこうと思う。またいきなりゲームの本筋とは関係ない話に脱線したり「誰がわかんねん」的なとりとめのない話に逸れていくことはないのでどうかご安心を というかそろそろ俺も俺自身の取り組みに安心したいのでちゃんと計画通りに書いてくれ(自戒)

 えーそんなわけで早速。ゲームの進行度上いわゆる"上位"という環境に突入した、今まで方々で数々の功績を挙げてきたことで知られる俺こと主人公であるハンター(ややこしい) 『ワイルズ』におけるフィールドの上位環境への切り替わり方?アップグレードのされ方?はそれはそれはよく考えられたもので、詳しい経緯は省くがここまでのストーリーで本当に色々なんやかんやありこれまで俺たち調査隊が歩いてきたフィールドの環境は既に一変していた。

 わかりやすい一例を挙げるとフィールドの立地や位置関係はそのままに(当たり前だが)今まで見たことの無かったモンスターが新たに出現するようになっているといった具合で、それが今回の「『緋の森』で新たにイャンクックが見られるようになった!」という話に繋がってくるのだ。

 『ワイルズ』でのイャンクックと言えば記憶に新しいのがPVでお披露目された際の尋常でない数の群れを作っていたシーン。今まで一頭、二頭でしか見たことの無かったイャンクックという存在が十頭単位で群れている様子を初めて見たとき、俺は制作側の狙い通り(かはわからんが)にしっかりと衝撃を受け、もはや驚きを通り越して普通に気持ち悪いなと思ったほどである。

 前編で「幼少の頃の憧れが〜」などとのたまっていた思い出の存在への認識が180度変わるほど、俺は既に『ワイルズ』のイャンクックから一発スマッシュヒットをもらっていた。実際に動く前の映像を見ただけの段階でもうここまでやられているのである。この先まさに相対する際にはどれほど進化したアクションを見せつけてくれるのか、俺の期待値は高まりまくっていた。

 そんなこんなで多数のイャンクックが群れている中へ身を隠すこともせずに闖入していった俺たち。あのPVの映像はそのままゲーム内での初対面の光景だったのだ。草食系の小型モンスターの群れじゃあるまいし何の警戒もせずにドタドタと正面から突っ込んでいくのは普通に考えればツッコむべきところなのだが、そこはもう経験値の貯まりまくった熟練ハンターだからということなのかそもそもイャンクックの群れが実はそれほど脅威でないという認識なのかはわからない。一応イャンクックが誰からも無意識にナメられている可能性はある。

 しかし実際のところ何の気なしに「来ましたけど?」くらいのノリで接触してきた俺たちを見るや否やイャンクックの群れは散り散りになり、その中の多くは方々へ飛び去ってしまった。やはりどんな場面でもまずは堂々としておくことが大事なのかもしれない。残ったのは群れの中でも比較的血気盛んか戦闘担当かという三頭の野郎共。そのままヌルッと戦闘が始まった。

 いくらイャンクックとはいえ(『ワイルズ』で戦うのは初めてだケド)三対一では分が悪い。俺はこの時が初めてながら即座にスリンガー大こやし弾を三頭が固まっている中に撃ち込んだ。その成分のことを考えればあまり被りたくない煙が勢いよく辺りに拡散する。三頭はその強烈な臭いに堪えかねそれぞれバラバラの方角へ飛んでいった。

 よし、イメージ通りだ。なんとなくでしか効果を把握していなかったが上手くいったぞ。このスリンガー(大)こやし弾なるアイテム、『ワイルズ』開始直後からいつの間にかポーチに入っていたのだが長いこと一度も使っておらず文字通り"ポーチの肥やし"状態になっていた。それをこの適切な場面でようやく活用することができたというわけだ。

 これで俺はまた一歩、あらゆるアイテムを華麗に使いこなすスタイリッシュなハンターへ近づいた。上位に上がってもこんな風にまだまだ使えていないアイテムが山ほどある。要領の悪い俺は少しずつ新しいことを覚えていくしかないのだ。

 俺は散った中の一頭に狙いを定め、導虫の導きを頼りにすかさず追っていった。新たに行けるエリアが広がったのか『豊穣期』を迎えて景色が変わったからか、俺を乗せたセクレトは緋の森でも見慣れぬエリアへと突き進んでいく。おいおい大丈夫か? なんだかいつの間にか周りが初めて見る景色だらけのようないやこんな道あったっけ? ゲームの当たりが強いのか俺が普通に未だにフィールドを覚えられていないだけなのか、やり場のない不安を抱えたまま俺たちは風のような速さで森の中を駆けていった。

 木々が鬱蒼と生い茂る狭い道の先、足元に透明よりも美しいターコイズブルーの水を湛える開けた場所に出るとそこでイャンクックは待っていた。緋の森にこんなに広く平坦な一角があったとは。なるほど、ここなら奴も思いっきり暴れられるというわけか(言ってない) 今回夢中になりすぎてスクショを取り忘れてしまったためここに載せられないのが残念だが、神秘性を感じるほどの現実離れした(現実じゃねえんだよ^^;)美しい絶景を前に俺は自分の毎日満員電車で大変な思いをして都内へ仕事に出ている人生を恥じた。イャンクック、お前に俺の気持ちがわかるか。

 半ば八つ当たりの念を以て始まったイャンクックとの初手合わせ。少し見てすぐにわかった。やはり俺の記憶の中のイャンクックと良い意味でまったく違う! 以前、 ババコンガの回でも書いたような気がする。新モンスターとの初対面ももちろん楽しみだが、かつての姿を知っているモンスターこそ『ワイルズ』でデザインやアクションがどれほど進化・アップデートされているかを見るという楽しみがあるのだ。イャンクックもまたその進化っぷりは相当のものだった。

 大きなクチバシでの連続ついばみや周囲に火炎をまき散らしながらの突進攻撃などの「これぞイャンクック!」という往年の得意技はそれぞれ正統に強化され、バリエーションも増えて激しさを増した立ち回りのアクションは対峙していて飽きることがない。なんと表現すべきか、こいつの他のモンスターとは一線を画す独特のせわしなさというか"わちゃわちゃ感"には強烈に惹かれるものがある。

 とかなんとかどこか上から目線でイャンクックを"品評"していた俺に、昔より明らかにボリュームを増しどことなく粘度さえ感じさせる火炎の塊が直撃した。火耐性がはちゃめちゃに低いスキュラ装備を着ていた俺はあちゃあちゃ!と必死に地面を転げ回って消火した。まったく、下が水で助かったぜ

 いかん、気を引き締め直さなければ。こいつ、普通につええぞ! 前述の通り行動のすべてがかつてとは比べ物にならないほど強化されたイャンクック。大剣を扱う俺個人の話で言うと、奴の個別の行動には必ず大きな隙があるものの、それは溜め斬りから強溜め斬りまでにはいけそうでいけない微妙の時間なのである。

 かと言って雑に追撃を試みるとふっ飛ばし効果(という名前かは知らんが)のある回転尻尾攻撃によって容易にぶっ飛ばされ、ダウンしている間に何かのシロップのような美味しそうな見た目の火炎を重ねられる。比較的危険度の低い中型モンスターといえど安易なゴリ押しは効かず、意外と丁寧な立ち回りを要求されるのがイャンクック戦なのだ。俺は溜め斬りしたさに何度となく無防備な体勢を晒し、その度に一見細く弱そうに見える奴の尻尾にビタン!とはたかれてはゴロゴロと勢いよく転がされるのだった。

 まさに生まれ変わったように"復活"したイャンクックはもはやどこか親しみをもったニュアンスで「先生」と呼べるほど生易しい存在ではなくなっていた。そう、ここであえて名づけるならば「教授」! 今のこいつに親しみなんかまったく無い! しかもこいつの研究室は平日は毎日通う決まりになっている!(何のこっちゃ)

 イャンクックが予想以上の変貌を遂げていたことで俺は思いのほか手こずったが、15年以上も昔から奴を知る者としてのアドバンテージをフル活用しなんとか無事にクエストクリアすることができた。これまで狩ってきたドシャグマやレ・ダウと比較すれば明らかにサイズでは劣るが、その小柄さゆえの狂気さえ感じる全力の運動量には他に類を見ないものがあった。

 シリーズを生き残るだけあるモンスターにはそれだけの要素が、復活するだけあるモンスターにはそれだけの魅力があるということなのだろう。長い時を経た今も俺の頭の中に残るイャンクックという情景に新時代の鮮やかな色が差した。